物理学を専攻している22歳です。大学院生はこんなことを考えています。


by kohno-knj
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Eikonal近似

散乱を記述する近似の方法の1つに
Eikonal(アイコナール)近似と呼ばれるものがあります。

これは別名、半古典近似とも呼ばれます。
このように呼ばれる理由は、
粒子があたかも古典的な直線軌道を通ってきたかのように記述されている
とされているからです。

結論を先に述べますと、
この表現は間違いであると思われます。

その理由は以下の通りです。

系は量子力学で記述されるわけですから、
波動関数によって表現されます。

そして実際にEikonal近似での
波動関数の形を見てみると、
一見ある方向にまっすぐ進んでいるように見えます。

しかし系を記述しているのは量子力学であることを
ちゃんと意識しなければなりません。

(そもそも量子力学においては軌道などという概念そのものが疑問なわけですが。)

したがって波動関数そのものではなく、
ちゃんとflux(流れ)について考えます。

するとどうでしょう。
fluxは決して1つの方向を向いていないことがわかります。

つまりEikonal近似は、
決して古典的な直線軌道を通るという
半古典近似ではないのです。

もちろん非専門家の方に話すときには、
直線軌道のイメージというのは理解しやすいので、
よいと思います。

専門家がこのように思っていては危険です。

繰り返しますが、
Eikonal近似には直線軌道などという考えは必要ないのです。

半古典近似とは別物なのです。
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by kohno-knj | 2005-05-11 22:19 | 物理学